私は福祉系の大学を卒業して介護老人保健施設、通称「老健」と言われる介護施設に入職した。
もともと希望していたのは、相談員という事務的役割の仕事だったが、介護現場を知らなければ出来ないということで一年間は現場での勤務となった。
私の社会人生活は介護現場からスタートすることになったのだ。
福祉については全般に学んできたが、「介護」については学んだことはなく、オムツ交換や入浴介助には抵抗があった。
「うーん、やっていけるのだろうか・・・」
と強い不安の中、介護の仕事をスタートしたのだが、初めての職場にしてドン引きしてしまうことの連続だった。
【目次】
夜勤者におびえる入居者達
入職して2週間は9時から18時の時間での勤務だったが、それ以降は、早番、遅番、夜勤の不規則な勤務へと変わっていった。
最初は緊張してスタッフやご利用者様とも話すことも出来なかったのだが、徐々に打ち解けてきた。
ある早番の日、一人のおばあさんの起床介助をしていた時、私にこう言ってきた。
「今日の夜勤者は誰?」
「Aさんですよ」
「そうかね、ありがとう」
その時は、あまりその会話を意識することはなかった。
また、別の早番の日
同じおばあさんの起床介助へ向かった。
また、おばあさんは私に聞いてきた。
「今日の夜勤者は誰?」
「Bさんですよ」
「そうかね・・・」
おばあさんの表情が曇ったのがすぐに分かった。
ちょっと、おかしいな?と思った私は聞いてみた。
「何かありました?」
そうすると、おばあさんは涙を流しながら話し始めた。
「Bさんが怖い、夜、トイレに行きたくてコールで呼ぶと怒られるからトイレに行きたくてもいけない、我慢してて漏らすともっと怒られる」
それを聞いた私は、怒りが込み上げてきた。
日勤帯になり、主任が出勤してきたので主任へ伝えた。
しかし、主任の反応はすでに分かっていたようだ。
ただ、人手不足で注意できずにいるようだった。
この時、その組織に強い不信感を抱いたのを覚えている
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自ら水分制限をし始める高齢者達
この1人のおばあさんの発言を聞いてから少し見える景色が変わってきた。
基本的に日中は、水分をたくさん摂ってもらうように促すのだが、あることに気付いた。
1人のおばあさんは提供したお茶を部屋で飲みますと言ってトイレに捨てていた。
また、別の人は飲みたくないといい、水分を摂ることを拒んでいた。
理由は、ある一人のおばあさんが教えてくれた。
「今日の夜勤はBさんだから」
そう、昼間の水分量を減らして夜にトイレへ行かないようにコントロールしていたのだ。
基本的にこういった施設を利用している人たちの既往歴には脳梗塞がある。本来であればたくさん水分を摂ってもらわないといけない人達だ。
もちろん、本人たちも水分をたくさん摂ったほうが良いということは知っている。
自分の命を削ってでも摂取する水分量を減らし夜にトイレへ行かないようにしようとしていた。
これを知った時、世間で言われている介護施設のイメージよりも闇が深いのだと理解した。
Bさんには怖くて誰も何も言えない
働きだして一カ月もすると一緒に働くスタッフの性格もなんとなくわかってくる。
そして、Bさんについてもよく分かってきた。
どうも、私が入職する前に下のフロア(9階建の建物)で問題を起こして、私の階に回されてきたらしい。
入居者だけではなく、スタッフ達もおびえて何も言えない。
上の立場の人たちも分かってはいるようだったが、人手不足で辞められたら困るから何も言えない。
私のいるフロアはBさんの恐怖でみんながビクビクしていた。
私は、入職初日に辞めると決断していた為、Bさんに何を言われても適当に流すことは出来ていたが、耐えられない人はどんどん辞めていく。
それが私が初めて勤めた職場だった。
まとめ
私が勤めた施設は特別だったわけではないと思っている。氷山の一角だ。
虐待もメディアに取り上げられるのなんて本当に極一部。
もし、こんな状況を家族が知ったらどうだろうか?
私は今、別の介護施設で働いているが少なくとも自分の管理する施設でこんな思いをさせたくないと思っている。
でも、介護施設を知らない人には知っていてほしい。
介護施設を選ぶ時は本当に慎重に選んだほうがいい。
介護されている方は、申し訳ないや情けないという気持ちで家族へ伝えることはしないだろう。少しでもおかしなことがあればすぐに確認したほうがいい
もちろん、全うな介護施設もたくさんあることを知っている。
絶対に家族を預けるなら自分の目で確認したほうがいい。
最後まで読んでいただきありがとうございますm(__)m
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